10歳から身につく問い、考え、表現する力 斉藤 淳
子どもには自分で考える力を身に付けてほしい、とは多くの親が思うこと。
私もその一人。特に、自分が考えることが苦手なので、強くそう思う。
2014年7月9日出版の本書、存在を全く知らなかった。ブックオフで見かけて、即買いした。
10歳から身につく 問い、考え、表現する力―僕がイェール大で学び、教えたいこと (NHK出版新書 439)
- 作者: 斉藤淳
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/07/09
- メディア: 新書
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主題ではないが、日本の筆記試験重視の評価方法に疑問を投げかけている。
日本の誰でもが日本語の読み書きができ、簡単な計算(四則演算)くらいはできる、というのは、世界的に見てもすごいことではあるらしい。
しかし、日本の教育方法は、平均的な人間を育てる。
いわば、出る杭は打たれる。
平均に到達すれば、そこでOK。
そんな教育では、世界に羽ばたく人材って、育たない。
良いところを伸ばす。悪いところはそれなりに。
自分の子供の良いところ、わかりますか?
学校の成績が良い=子どもの良いところ、ではない。
学校の試験に向けて計画的に勉強できる、学校の勉強から自ら発見できる、学校の勉強で満足せずにより深く知りたいと思う。
そんなところが良いところなのだ。
私自身は「正解」を求める人間だと思っている。
でも、正解なんてないものは世の中たっくさんある。
大学での研究だって、成果が論文になったとしても、それが正解かどうかはわからない。
時代が変われば、学説だって変わることも多々あるのだ。
だからこそ、自分で正解と思えるものを導く力をつけてほしい。
子どもたちには、自分の頭で考え、納得して楽しんで生きて行ってほしい。
学生時代に、心行くまで「考える」ことをして、考えることの楽しさを発見してほしいな。
10歳から身につく、とタイトルには書いてあるが、小学校入学前の子供を持つ私でも、十分実践できそうな内容であった。
以下、印象的だったフレーズなど。
横行するローカルルール
日本の小学校では、算数の文章問題の模範解答が「8x9=72」だった場合、「9x8=72」と書くと、バツにされることがあるらしい。
もしかしたら、本当に「8x9」のみ解答として正しい場合がある?少なくとも、小学校の算数レベルではないよね。
8x9だろうが、9x8だろうが、答えは同じ72。
8x9というのを、9x8と書いたらバツにされるのは、文部科学省の考え方なのだろうか。
わが子がもしそんな解答用紙を持って帰ってきたら、その先生に対する信頼感はなくなるだろうな。
今すぐ改めたい、「頭脳の減反政策」
頭脳の減反政策とは、面白い言葉だ。
笑えないけどね。
日本では、上記のように答えの画一化がされるうえに、小学生が中学生の知識を使って問題を解いてはいけないことになっているらしい。
馬鹿らしい。
子どもの学ぶ意欲を削いでいるのは、現在の学校教育なんだな。
どんどん学びたい子にはどんどん学ばせれば良いのに、教師は「できない子」には手厚く対処しても、「できる子」を伸ばそうとする人が少ないのではないだろうか。
私も、小中学校時代は「勉強ができる子」だった。けど、それだけだった。
それ以上のところがあるんだよ、と教えてくれる大人は誰もいなかった。
学校の先生も、塾の先生も、親も。
全体として、非常に興味深く読める本であった。
この本は古本には売らず、子どもが小さいうちは、読み返そうと思う。
読んだ期間:2016年4月17日~4月22日