ランクA病院の愉悦 海堂 尊
久しぶりの海堂作品。
海堂作品のいつもの毒の感じもあり、一気に読み終えた。
特に、本書のタイトルにもなっている、「ランクA病院の愉悦」がおもしろかった。
病院がランクA~Cに分類され、それぞれかかる医療費で区分される。
(救急病院としてランクQもあり)
ランクC病院が最も安く、一万円以下で済むという設定だ。
しかし、診察をしてくれるのは「自動診断ロボ」のトロイカ君。
毒にもクスリにもならない薬を処方してくれる。
そして、実は最初の契約の時点で、「診断ミスがあっても訴えない」「投薬による副作用が発生した場合には、一切の責任を持たない」など、とんでもない内容がしれっと書かれているのだ。
一方、Aランクの病院では・・・
トロイカ君、診察内容を見ると、現代なら十分に作れる。
日本は今のところ国民皆保険制度や高額療養費制度で、クオリティの高い治療を安く受けることができる。
トロイカ君の必要性はないが、今後医療費の増大などにより、トロイカ君のような自動診断システムが導入されてもおかしくはない。
ただし、トロイカ君にかかる場合は、自己責任である。
その他の短編ももちろん、面白かったよ。
速水医師が出てきたり、拡張型心筋症が出てきたり、これまでの流れと何かしらリンクしている。
海堂ファンなら読んで損はない。
読んだ期間:2016年6月6日