賢く生きるより辛抱強いバカになれ 稲盛和夫x山中伸弥
著者のお二人を紹介する必要はないかと思いますが、
京セラ創業者の稲盛和夫氏とiPS細胞でノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授の対談です。
京都賞設立30周年を記念しての対談、ということです。
本書は8章構成になっています。
序章 京都賞受賞から4年後の再会
第1章 原点は父親の工場
第2章 挫折と回り道を繰り返した人生
第3章 ありったけを捧げる覚悟
第4章 高い頂を目指す力
第5章 真のリーダーとは
第6章 熾烈な国際競争を勝ち抜く情熱
終章 科学の進歩は人を幸せにするか?
<京都賞とは>
お二人の生い立ちなども知ることができ、スイスイと読み進めることができました。
さて、京都賞をご存知でしょうか。
実は、私は知りませんでした。京都出身にも関わらず・・・(恥)。
京都賞HP↓↓
京都にいる間に、知っていれば見に行くことができたかも知れないし、
その時期の過ごし方が変わったかも知れない。
ま、20年近く前の話ですが。
<山中伸弥教授>
山中教授ですが、元々整形外科医であったが、あまりウデの方はよろしくなかった、というのは有名な話かと思います。
そこで、自分の適性を見極めて基礎研究の方へ針路を変えたのが良かったのですね。
私も元研究者として、読んでいて共感できる箇所が多かったです。
山中教授は研究テーマが興味の赴くままにコロコロ変わったみたいです。
研究者というものは、いったんテーマを決めると、理想的な結果を思い描き実験系を組み立てます。
ですから、思い描いた結果と異なる結果が出た場合は、その実験は「失敗」あるいは「仮説が間違っていた」と思考する傾向があると思います。
山中教授や、他の画期的な発見をした研究者の方々は、結果を「結果」としてとらえ、柔軟に思考されています。
その辺で差が出てくるのですね。私は柔軟な思考はできないタイプで、研究者としては三流だったと思います。実験技術が飛びぬけて素晴らしかったわけでもないので、私も方向転換(研究ではない部門へ異動)したのは、ある意味ベターだったのかも知れません。
さて、この対談で印象に残った山中教授の言葉です。
一歩一歩、地道な努力の積み重ねでしかないというのは、非常によくわかります。私にも研究の支えとなっている言葉があって、それはグラッドストーン研究所に留学していたとき、ロバート・メーリー所長(当時)から教えられた「VW」という言葉なんです。
V・・・Vision
W・・・Work hard
目的を明確にして、一生懸命に努力する、ということらしいです。
Vision、なかなか持てないですね。私はWの方はできる自信がありますが、Vが難しいです。
今の仕事も、Vを明確にして頑張りたいと思います。
<稲盛和夫氏>
色々心に響く言葉はありましたが、働いている身として最も印象深かったのは、
不運なら、運不運を忘れるほど仕事に熱中してみなさい。少なくともやるべきことに没頭している間は、不平不満といった雑念や妄想、ネガティブな思いは消えています。そういう混じりけのない、澄み切った心でやる仕事には、必ず結果がついてくるものです。
運不運を忘れるほど仕事に熱中・・・できていません!
稲盛氏のオフィシャルサイトがありました↓↓
京セラのHPの一部のようです。
読んでためになることがいろいろ書かれています。
今更稲盛氏のあれこれ語るのもアレなので、このへんでやめておきます。
本書では、山中教授が研究所を運営する上で苦労していることや、特許関連の事情なども話されており、とても面白かったです。
読んだ期間:2016年6月24日~25日