文部科学省は解体せよ 有元 秀文
図書館で見かけて、「おや?」と思って即借りました。
不登校ネタの本を読み漁る以前の私だったら、見向きもしなかったでしょう。
有元秀文さん、という方を私は初めて知ったのですが、有名な方なのでしょうか。文部科学省のあり方、存在に対して物申し続けている方みたいです。
本書は7章構成です。
はじめに
第1章 文部科学省のどこがおかしいか~私がこの目で見てきた文科省
第2章 二〇二〇年、公教育の崩壊が始まる
第3章 小学校にも中学校にも精神疾患教師が多いわけ
第5章 文部科学省をどうやって解体するか
第6章 文部科学省の支配から、どうすれば逃れられるのか
第7章 教師たちよ、言いなり教育からの脱却を!
おわりに
感想としては、「それでも、解体は無理なのだろうなあ・・・」というもの。もちろん、かなり大げさに記述してインパクトを与える目的があっての内容なのでしょうが、なんだか非現実的な感じがしてなりません。
多かれ少なかれ、省庁ではムダな仕事も利権がらみの仕事もあるのだろう、ということは頭ではわかっています。我々の血税を、ムダに使っているような事業等も多いのでしょう。
それは何も文科省に限ったことではないと思うんですよね。欲を言えば、全ての省庁のざっくりとした無駄を列挙し、特に文科省ではこうだ、という理屈でも欲しかったです。ただ、元文科省職員ならではの視点や内容もありました。
学力テストの無駄、天下りのひどさ、新指導要領への批判(英語教育とプログラミング教育の導入によるさらなる学力低下の危惧)などは、納得できる部分でもありました。
ただ、子どもを学校に通わせる一人の保護者としては、文科省解体すると想像したとき、
①教育格差の拡大
②中央で行っていた仕事(不要なものは除く)を結局現場がするのであれば、教師の負担がさほど減らないのではないか
という点が気になります。
そりゃあ、夢と希望に満ち溢れて教師になった人にとっては「やりたいようにやらせてくれ!」って感じなのかも知れませんが。
私自身が学歴主義からまだ抜け出せていない面もあるため本書の内容を受け入れきれていない部分があると思っています。早く考え方を心から改めたいと思いつつ、やはり受けてきた教育を覆すような価値観をすんなりと身につけることができません。
(と考えると、わが子に限らず子どもたちにはしっかりとした教育を受けてほしいですね。)
今後は、自分の意見を持ち、それを相手にわかりやすく伝えることができ、反対意見を持つ人とも建設的な討論ができるような人が求められていく世の中になるのでしょう。いえ、もう既にそのような世の中かも知れません。
だから、知識だけの学力ではなく、しっかりと考える力を子どもにはつけてもらいたいです。今は、せっかくホームスクーリングのような状態なのだから、無理に学校に行かせようとするのはやめて、生きる力をつけていくことに注力しようかと考えるようになっています。でも、そのためにはどうすれば良いのでしょうか
本書では、そのためには読書を勧められています。
そこに反対はしません。私自身も読書が好きだし、読書によって成長したり心が潤ったりすることは確かです。が、何冊か国語教育に携わる人、あるいは国語教育に携わっていた人の著書を読んでいるうちに、「この人は国語の先生だから読書を強く勧めているのでは・・・?」と思うようになっている自分がいます。
スマホでゲームをするよりは何倍も子どもにとっては意味のあることだとは思いますが、「何はともあれ読書!」というような流れには少し違和感を覚えるところです。
本書の内容については、ああ、こういう考え方もあるんだな、という程度に受け止めようと思います。
読んだ日:2018年1月8日-9日
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