小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て 高橋 孝雄
子どもがしあわせなら・・・・それだけでみんな、しあわせ
本書は4章構成です。
はじめに
第1章 子どもの個性、能力は親から受け継いでいる。
第2章 悩める子育て、いったいどうすればいい?
第3章 親が心がけたい、子育てにいちばん大切なこと
第4章 病児とのかけがえのない出会いが教えてくれたこと
あとがき
一番引き込まれたのは、第3章でした。
子どもを幸せに導くのは、「共感力」「意志決定力」「自己肯定感」の3つ。勉強、運動ができることよりも、これら3つの力を育むことが親の務め。
共感力・・・誰かの気持ちに寄り添える
自己肯定感・・・生まれてきてよかった、自分は自分でいい、と感じる
意志決定力・・・自分のことを自分で決める
最もページが裂かれていたのが、自己肯定感です。子どもが小さいうちは自己肯定感が高いものの、大人の接し方によって自己肯定感を失ってしまうことがあります。
何かにチャレンジしようとしたときに「できるわけない」と否定したり、将来の夢を馬鹿にしたり。それらの積み重ねで自己肯定感は失われていきます。
逆に、小さなことでも褒めて褒めて、成功体験を積み重ねていくことで、自己肯定感を維持していくことができます。自己肯定感は、チャレンジ精神やあきらめない心につながっていきます。
意志決定力も大事です。自分で自分のことを決める力です。親がアレコレ指示して、それに従うような、いわゆる「良い子」は意志決定力が不足している可能性があります。小さなことでも自分で決めさせ、それを否定しないことが大事。
意志決定力が育っていないと、学生時代だって就職してからだって、自発的に動くことのできない人間になってしまい、生きている意味だってわからなくなってしまいます。
そのほかの章もすべて興味深く読みました。
第1章では、遺伝について書かれています。
「トンビがタカを産む」はありえない、お酒の強さは親の特性が遺伝する、男の子はママに似て女の子はパパに似るは根拠なし、等々。
ちまたの噂を検証してくれています。
第2章では、実際の子育てのアドバイスが書かれています。
特に印象に残っているのは、
習い事は、長続きしなくてもいい。むしろいろいろなものに挑戦させるべき。
と、
食べ物で頭がよくなることはありません。楽しく食べることが、なによりも大事です。
と、
不登校の子どもには、休息が必要。「行かなくてもいいよ」と伝えます。
ですね。
習い事については、一度始めたことは頑張って続けよう、という風潮もありますが、それよりは色々なことにチャレンジさせて、子どもの才能を見つけよう、という考え方です。
私も、習い事については色々やってみて、楽しく続けられるものは続ければよいのではないかと思います。続けられる=その子に合っている、習い事ですね。
あと、食べ物。EPAとかDHAとかいろいろ言われていますが、そういうものにこだわるよりは、楽しく食べることのほうが良い影響を与える、ということです。
ファストフードだって、食べ過ぎなければよくて、むしろ美味しく楽しく食べられるのであれば、たまに食べたっていいじゃないですか。
不登校の子について。
以前記事にした高岡健さんも同じ考えかと思いますが、休息が必要なんです。無理に行かそうとするべきではないのです。
エネルギーが溜まったら、自分から動きます。
第4章では、著者の実体験が書かれていました。
小児病棟でのあれこれ。読み進めると、自然と涙ぐむ内容でした。
本当、「生きてるだけでまるもうけ」だな、と思います。
読んだ日:2019年3月上旬
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