病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと 市原 真
医師によるつぶやき、です。
病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと ~常識をくつがえす“病院・医者・医療"のリアルな話
- 作者: 市原真
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2019/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
かなり淡々とわかりやすい言葉で、色々つぶやいています。
大きな総合病院の病理医さんのつぶやきなのですが、医療の裏側のドタバタやドロドロを期待して読むと、「思ってたんと違う」ということになりそうな内容でした。
こんな医師がいる、こんな変わり種がいる、というお話もあります。
病院内を、常に早足で歩く早口の医師、とか。
しかしながら、病院のこと、というよりは、医療のこと、に対する記述が多かったと思います。
本書は序章+4章構成です。
序章 病院とは・・・なんだか冷たくてこわいところ?
第1章 ”病院”のホント
第2章 "医者"のホント
第3章 "病気になる"のホント
第4章 "医者と患者"のホント
私がこの本で印象的だったのは、「標準治療」と「医療シアター」です。
日本では、どの病院に行っても基本的には同じ治療を受けられます。それは、疾患の治療方法に対してはガイドラインが定められているからです。
大学病院の方が高度な治療を受けられそう。そのイメージは、難病だったり、希少疾病だったり、町医者の設備では治療できない場合には当てはまるのでしょう。手術なんかは、町医者では受けられない場合が多いですよね。
「診断」については、高度とか普通とかそういう話ではなく、役割分担、でしょうか。町医者は市中でよくある病気の診断/治療を行うエキスパートであり、患者の訴えの中から重大な疾患が隠れていないか判断する人。
大学病院は、その疑いを明らかにするところ。そんな感じでしょうか。
難病なんかに対してでもガイドラインが定められていることがほとんどなので、「治療」という点では、設備の有無以外は「大学病院で治療してもらった方が安心」というのは当てはまらないでしょう。
むしろ、診察時間や医師との信頼関係を考えると、同じ医師に(大学病院よりは)気軽に診てもらえる町医者の方が良いかもしれません。
大学病院・総合病院にかかれば安心、と思っている方には一読をおススメします。
医療シアター、というのは、患者さんの闘病を一つの舞台として考え、主役は患者さん本人、そして医師、看護師、技師、薬剤師等々が主役を支える脇役たち、という考えです。
病気と闘うのは患者さん本人です。医師はそのお手伝いをするだけ。
私はなんとなく「医師ってエライ」と一昔前の感覚でした。医師の前では緊張するタイプです。
しかし、医療シアターのお話を読んで、「医師は協力して病気を治す人」と思えて、少し緊張が和らいだ気がします。(本を読んでからは病院には行っていませんが・・・。)
だって、医師も役者の一人に過ぎませんから・・・。
大根役者ではありませんように。
読んだ日:2019年4月中旬
病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと ~常識をくつがえす“病院・医者・医療"のリアルな話
↑画像orタイトルをクリックするとamazonにとびます。