「時間の使い方」を科学する 一川 誠
得るところがたくさんある本でした。
副題:思考は10時から14時、記憶は16時から20時
第1章 「感じられる時間」の長さ
第2章 サーカディアンリズムと現代人
第3章 時計の時間、社会の時間
第4章 なぜ人は大事な作業の前に掃除をするのか
第5章 時間を作り出す技術
第6章 予定通り進まない場合の対処法
第7章 作業効率を高める時間管理術
第8章 「感じられる時間」を操作する
第9章 充実した時間の作り方
第10章 有限な時間と有限な人間
もりもり盛りだくさんの内容で、全ての章を「フムフム」と興味深く読みました。
それをすべて書くと、本書になってしまうので(笑)、後で見返した時に役立ちそうなフレーズをざっと。
- 記憶力は夕方、論理的判断力は午前中に高まる。
- 心の時間は延びたり縮んだりする。
- 選択肢が多すぎると、選択することの心理的負荷が高くなる。そのため、選択に時間的余裕があるときは、選択は先延ばしになることが多い。
- 自我防衛機制
- 現状維持バイアス:自分の状態や環境において変化をもたらすような決断を下すよりは、現在の状況を維持しようとする行動的バイアスがある。
- ぜひとも実行したいことがらは、とりあえず少しずつ実行してみる。
- 時間の感じ方には個人差がある。
- 楽しみなことも近づくと億劫になる理由。
- 特定のことがらだけが最大化されるような時間の使い方をしたとしても、それはほとんどの人にとって満足感が最も強くなることを保証しない。
特に「楽しみなことも近づくと億劫になる理由」が最も感動しました。
私自身は、割と人との約束を「楽しそう」ということでしてしまいますが、その日が近づくにつれ面倒臭くなり、揚句ドタキャンする、などということもしてしまいます。
自分にはそんな傾向があると思っていましたが、本に理由が記載されるほど万人に共通の出来事とは思っていませんでした。
で、ちなみにその理由です。
我々は、将来の事象の評価や価値判断をする際、そのことがらまで時間的に離れている時には大局的な視点からの評価をしやすい傾向にあり、そのため、自分自身で望んだことや、自分の将来の可能性を広げることに関して、おおむねポジティブにとらえることになるそうです。
それに対して、時間が経過して、その事柄が近づくにつれて些末なことが評価に影響しやすくなるそうです。よって、面倒くさくなる、と。
おお~、なるほど!と思いましたね。確かに、約束するときには私の頭の中では楽しそうなことなどメリットがクローズアップされています。
しかし、近づくにつれて細かいところ(行くのが面倒臭い、雨が降っている等)が目立つようになるな、とは思っていました。そして、「行けば楽しいから!」と自分を頑張って奮い立たせ、実際行ったら時間を忘れるほど楽しむ、というパターンです。
自分を奮い立たせきれなかったときには、申し訳ないけどドタキャンしてしまいます。
自分の心理的なところが解説されていて、自分を客観的にとらえることができる気がします。
そのほかにも、全部の章が非常に興味深く、副題にもなっている「思考は10時から14時、記憶は16時から20時」などは即実践できるし、理由もちゃんと書いてあるので、自分の1日の作業の組み立て方の参考になるかと思いました。
読んだ期間:2016年8月22日~2016年8月28日