「考える力」の鍛え方 上田 正仁
東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方。
副題として、想定外の時代を生き抜くためのヒント、とある。
最近のキーワードは「考える」。
自分自身が、考えることを苦手とするマニュアル人間であると最近強く自覚した。
みんなどうやって「考えているのだろう?」ということを考え始め(!)、「考える」などの単語に敏感になっている。
さて、東大物理学者の書いた本。
高校までと大学の違いは何か?それは、優秀さの尺度が「マニュアル力」から「考える力」へ突然変化する。
マニュアル力、すなわち問題を解く力。
考える力、すなわち新しい何かを思いつく力。例えば、これまで誰も解けなかった問題を解決する、市場になかった画期的な商品を思いつくetc
そして、社会へ出たり、大学院へ入学すると、「創造力」になる。
この事実を、私の学生時代に知っていれば、もっと違う過ごし方をしたのに・・・と嘆く。
まあ、部活やバイトを楽しんでいた学生時代もいとおしく、後悔はないが。
本書は予講、第1講~第4講構成になっている。
予講:「考える力」とは何か
第1講:「問題を見つける力」を身につける!
第2講:「解く力」身につける!
第3講:「諦めない人間力」を身につける!
第4講:考えることは、創造すること
予講の内容だけ紹介する。
「考える」能力は「頭の良さ」と同じではありません。
嬉しい一文ではないか。自分の子供の学校の成績が悪くとも、それは「考える」能力がない、ということではない。
そして、
「考える」という行為は、外部からは進み具合や成果が見えづらい
画期的なアイデアを得るためには、1つのことを長く、深く考え続けることが必要。
ただし、「考えていること」の中身を知っているのは本人だけ。
どれだけ素晴らしい思索を進めていても、周りからはその内容を知ることはできない。
そのため、周りからは「何もしていない」ように見えてしまう可能性がある。
しかし、頭の中では世界を変えるようなひらめきが生まれようとしているかも知れない。
マニュアル力は、試験ですぐに成果が見える。
そして、学歴に直結する。世の中では、学歴を「頭の良さ」の目安にすることが多い。
マニュアル力は、「考える力」を身につけるための基礎力になるし、創造力を発揮するための土台にもなる。
全く不要な力ではないが、マニュアル力が必要とされる受験勉強などもいきすぎると、「創造力を奪ってしまう」。
思考をパターン化し、一通りに決まった「正解」が存在するという固定観念を植え付けてしまう可能性があるからだ。
大学での研究テーマや、社会に出てからは「正解」がない課題、問題の方が多く、マニュアル力だけではイノベーションを起こせない。
今必要なのは、「自ら考え、創造する力」
「自ら考え、創造する力」は3つの要素からなる。
- 問題を見つける力
- 解く力
- 諦めない人間力
これら3つの力は意識的な努力を積み重ねることによって鍛えることができる。
具体的な実践方法が第1講から第3講に記されている。
この本は、自分の「考える」力を養うための教本として、また子育ての指標としても、定期的に読み返したい。
読んだ期間:2016年5月下旬